HiBDについて

バイオディーゼルとは、植物由来の油脂を原料として得られるディーゼル燃料のことで、リニューアブル輸送燃料であり、世界的な開発競争の渦中にあります。 本研究のHiBDは北九州市立大学の藤元、谷らによって開発された新しいバイオディーゼルで、副原料を用いることなく、著しく簡単なプロセスにより油脂あるいは脂肪酸を一段で脱炭酸分解して得られる脂肪族炭化水素混合物です。 HiBDは炭化水素混合物であり、しかも約30%の分岐炭化水素を含有するため、流動点が低く、寒冷地でも使用可能です。 分解反応が十分進行すれば遊離の酸がほとんど含まれず、またFAMEのように貯蔵中に遊離の酸その他の不純物を生成することもなく、酸化安定が著しく高いという特長があります。 また、沸点範囲も一般的なディーゼル燃料と同様に幅広く、排ガスの汚染レベルも低いため、新世代のディーゼルエンジン(コモンレール方式)に適した次世代のディーゼル燃料として期待されています。 なお<HiBD>は本プロジェクトの代表代理である藤元特任教授の登録商標です。

本プロジェクトについて

 現在のバイオディーゼルは主にFAMEとBHDという2つの方法により製造されています。

 FAMEは油脂にメタノールを加え、アルカリ触媒を用いてエステル交換することで得られる脂肪酸メチルエステルです。 合成は低温常圧で実施し得ますが、副原料を使用するほか副生物としてグリセリンが生成します。 また、FAMEはその特性によりコモンレール等の近代的なディーゼルエンジンには不向きであることが明らかになってきました。

 一方、BHDは油脂に高圧下で水素を添加して水素化分解し、炭化水素であるパラフィンを生成する技術です。 BHDは炭化水素を生成するため、FAMEのように燃料の使用時にノズルに詰まるなどのトラブルの心配はないものの、高圧下で多量の水素を使用するため設備コストが高くなる問題があります。

 そこで本研究では副原料を使わず、また副生物も出さない方法として固体触媒を用いて接触分解し、液体炭化水素を得るプロセスを開発します。 本方法はメタノールや水素を用いず、95%以上が炭化水素でグリセリンの副生もないことから、LCA的に優れたバイオディーゼル合成法として評価されています(平成20年11月石油学会報告、特願2008-282143)。 我々はこの分解油を、High BioDieselの頭文字をとって"HiBD"と称し、日本での商標が確立されました(商願2011-50454)。 従来のFAME法に比べプロセスが簡単で規模が小さく、また製品品質が優れているため、タイのみならず他の東南アジア等においても実用化が見込まれます。